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愛を分かち合いたい♪

愛を分かち合いたい♪

理解


理解


昨年(2003年)の12月30日。

毎年、年末は12月25日から毎晩、年末火災予防運動で
毎晩出動していく旦那さん。
帰りは朝方。

たとえ、子供が病気でも、私が病気でも出かけていく。

でも、今年は、二回休んでくれた。

私の気持ちを考えてくれたのだと思う。

年末の大掃除も手伝ってくれる。
換気扇、網戸、窓、電気傘、エアコン・・・。

でも、夕飯の仕度をしている時に
何気ない会話で喧嘩になった。

私の中で、くすぶっていた「離婚」という気持ちが
あらわになった。

「もう、明日、この家から出て行く!」

旦那さんのいつものだんまりが始まった。

黙っていてもわからない!
何も言わなければ、気持ちなんてわからない!
黙っていてわかる事など一つもない!
何か言うことはないの?

そういう私に旦那さんは
「感情的になるのはよくないと思う」と言った。

「人間だもの!感情があって当たり前!いつも冷静でなんでいられない!あなたみたいにはなれない!一緒に暮らしてて、気持ちがわからないほど遠く感じる事はない!出ていくって言う私にそんなことしか言えないの?」

「出ていかないでくれよ」

それは、私が言わせたセリフに他ならない。
気持ちが伝わらない。

悲しかった。


ほとんど子供の前で喧嘩をした事がなかった私達だったが
今回は、夕食時だったこともあって、子供達全員がダイニングにいた。

子供達は固まっていた。

それでも私はおかまいなしに続けた。

私「何も言わなくても分かり合える夫婦なんて、どこにもいないよ!!何十年と共に暮らしていても、熟年離婚があるくらいだよ!言葉は相手に理解してもらうためにあるんだよ!自分を表現するためにあるんだよ!何も言わないほど、人を傷つける行為はないんだよ!!」

旦「・・・・・・・・・」

それでも、何も言わずに私を見てる。

私「せっかく作ったんだから、食べるよ!」

私は、怒鳴りながらも泣きながらも、鳥の唐揚げを揚げていた。
お味噌汁とサラダもよそっていた。

旦那さんは、ご飯をよそった。

子供達は、かわいそうにおどおどしながら席についた。

私「最後の晩餐だからね!味わって食べてね!!!私が作る最後の手料理だよ!」

自分でも止められなかった。
この4年の感情が、あとからあとから涌き出てきて、
火山の噴火を止められないのと同じで、私のそれも止められなかった。

子供達は泣きじゃくりながら、静かにしようとつとめながらご飯を食べている。

旦那さんも、何も言わずにご飯を食べている。

私は一人で、お茶碗とお箸を持ったまま、ずっと言い続けていた。

「明日、子供達を連れて出ていくからね!もうここには1秒もいられないから。
私がここにいたくない理由も、いられない理由も、何にもわかろうとしてくれなかったから、もう話さないけど、一度出ていったら、もう二度とこの家には戻れないと思ってるから。覚悟して出るって事をちゃんと覚えておいてね!!!離婚するんだからね!!!!」

あとはあまり覚えていないくらい、色んな事を言った。

すると、とうとう長女が口を開いた。


長女「ママ・・・、ママに何があったかわからないけど、今はきっと感情的になってるからそんな風に思えるんじゃないの?
落ちついたら、またパパの優しいところとか、いいところをちゃんと思い出して
また一緒に暮らせるかもしれないよ。だから落ちつくまで、ホテルとかで泊まったら?」

私「パパのいいところなんて、ママが一番良く知ってるんだよ!でも、パパがどんなにいい人でも、ママに何も話してくれない、ママを理解しようとしてくれない、パパ自身を理解してもらおうとしてくれないんだよ・・・。何度も何度もお願いしてきてるのに・・」

長女「ねぇ、パパ!ママがこんな事言ってるけど、そんな事ないよね!パパはママを理解してるよね!!」

旦「・・・・・ん・・・でも・・ママがそう思ってるんじゃ、そうなんだと思うよ・・」

長女「じゃあ、これからママが言う通りにしてあげればいいじゃん!!そうするよね!パパ!そうして!!」

旦「・・・ん・・・」

私「もう、遅いよ!遅いの!!この4年何度も何度も話してきて、それでも何も変わらなかった!!もう、限界なの!!もう、この家で頑張るのは無理だから!!」

旦「今までは、kazuminに甘えてたと思う。・・・これからはもう少し努力するから・・。出ていかないでくれよ」

私「何度言えばわかるの?もう遅いの!!!もう無理なの!!」

長女「別々に暮らしてもいいから、離婚だけはしないでね!」

私「離婚しなかったら、意味ないの!」

長女「別々に住んで、落ちついて冷静になった時に考えればいいじゃん。ママ、離婚だけはしないで欲しい。パパがこんなに悲しそうだよ」

私「ママは今まで、ずっと悲しい事もつらい事も我慢してたの!!我慢できない事だけ、パパに話してきたの!なのに、パパはいつも黙ったままだったんだよ!!
パパが悲しいのは、自分のせいなんだよ!ママのSOSに何も応えてくれなかった罰なの!!!!!」

長女「じゃあ、これからは、私にもママのつらい事を話して。パパもこれからは違うと思うし、私もいれば、ママも少しは助かるでしょ?」

次女「私にも話して・・・」

ずっとだまっていた次女も言った。

長女は、必死に私を説得しようとしてくれたのだ。

なのに、旦那さんは、そんな時でも黙っている。



なんなの???この人は・・・・。


その時、ふと思い出した。
ある軽度発達障害児のパニックについてのセミナーの内容だった。

「高機能とはいえ、自閉症。パニックも頻繁に起こる。
そのパニックとは、一様に同じではありません。泣き叫んだり、青くなって固まったり、物を投げたり、暴力を振るったりするだけではないんです。
何も言えなくなって黙ってしまうのも、パニックの一つの症状です」


これを思い出した時、始めて旦那さんの事を理解できたような気がした。

旦那さんも「パニック」になっていたのだ。
泣き叫ぶ私・・同じ事を何度も怒鳴り続ける私・・
子供に辛い思いをさせている・・

どうしていいかわからなくなったのは、私だけではなかったのだ。

旦那さんも。。。。同じだったのだ。

ただ、表現が違うだけで、旦那さんも苦しんでいたのだ。

それを責め立ててきた私。

ものすごく後悔した。

旦那さんに理解してもらおうとばかりして、
私こそ、旦那さんを理解しようともしていなかったのだ。

それを素直に話した。
「お互いを理解したかったのに、自分の事ばかりでごめんなさい。
あなたが沢山辛い思いをしていたことに、やっと気が付いた気がする。
これからはまず、あなたを理解してみたいと思う。」

旦那さんはやっとの思いで言葉にしてくれた。

「kazuminがそう言ってくれるなら、俺も頑張るよ。」

長女も次女も

「ママ、ありがとう!!」
と何度も言いながら泣いていた。


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